廃材活用!古雑誌・カタログでつくる色あざやかアート ~紙の多様性を学ぼう~
導入:身近な「情報」を「創造」に変える - 古雑誌・カタログアートの世界
私たちの周りには、役目を終えると捨てられてしまうものが数多く存在します。その一つが、読み終わった雑誌や見終わったカタログです。これらの紙は、かつて私たちに様々な情報や楽しみをもたらしてくれましたが、役目を終えると多くは古紙回収に出されるか、残念ながら燃やされてしまうこともあります。
しかし、これらの紙には、リサイクルされるだけでなく、新たな命を吹き込まれる可能性が秘められています。特に、色とりどりの写真やデザインが施された古雑誌やカタログは、それ自体が豊かな色彩と質感を持った「素材」として、子供たちの創造力を刺激するのに最適です。
本記事では、古雑誌やカタログを廃材として活用し、子供たちが楽しく、そして安全に取り組めるアート制作のアイデアをご紹介します。単に物を作るだけでなく、活動を通じて紙の多様性や、物を大切にすること、そしてリサイクルについて自然と学べるような内容を目指します。環境教育のプログラムやワークショップ、家庭での活動のヒントとして、ぜひご活用ください。
廃材リメイクアイデア:古雑誌・カタログの色あざやかアート
使用する廃材と環境学習のポイント
- 廃材: 読み終わった古雑誌、古いカタログ、不要になったパンフレットなど
- 環境学習のポイント:
- 紙の多様性: 雑誌やカタログには、光沢紙、上質紙、厚紙など、様々な種類の紙が使われていることに気づきます。なぜ紙の種類が違うのか、どんな目的で作られているのかを考えるきっかけになります。
- 情報の役割と寿命: これらの紙がかつて私たちに情報や楽しみを与えてくれたこと、そして役目を終えることを伝えます。情報が古くなっても、素材として生まれ変わる可能性を示します。
- 印刷とインク: 鮮やかな色の印刷にはインクが使われていることを伝え、リサイクルの過程でインクを取り除く工程があることなどに触れると、より深い学びにつながります。
- リサイクルとアップサイクル: 古紙回収に出す「リサイクル」とは異なり、元の形や用途を変えて新しい価値あるものに生まれ変わらせる「アップサイクル」の一例として紹介できます。
必要な道具リスト
- 古雑誌、カタログ
- 作品の台紙となる厚紙や段ボール(空き箱を広げたものなど)
- ハサミ(子供用の安全なもの)
- カッターナイフ(大人が使用する場合のみ。安全な使い方を徹底します)
- 糊(液体のり、スティックのり、または木工用ボンドを水で薄めたもの)
- 絵の具、クレヨン、ペンなど(必要に応じて)
- 新聞紙やビニールシート(作業場所を汚さないため)
- 筆(木工用ボンドを薄めた糊を使う場合)
詳しい工作手順:色とりどりの紙でつくるアート
ここでは、「ちぎる」「貼る」「丸める」といった簡単な方法を組み合わせたアート制作の手順例をご紹介します。
ステップ1:材料を準備する(安全上の注意:ハサミやカッターは大人が適切に管理します)
- 古雑誌やカタログから、使いたい色や柄、写真の部分を選びます。
- 【安全上の注意】 小さな子供がハサミを使う際は、必ず大人が見守り、使い方を教えましょう。刃物ですので、人に向けて使わないこと、使わない時は閉じて置いておくことなどを伝えます。カッターナイフを使用するのは大人のみに限定し、常に刃の出し方を最小限にし、切る方向を確認しながら慎重に行います。
- 選んだページをハサミで切り取ったり、手で大きくちぎったりします。
- 次のアート制作に備え、必要な形に加工しておきます。
ステップ2:様々な「素材」をつくる(子供が主体的に取り組むヒント)
ここでは、選んだ紙を様々な形にしていきます。子供たちの創造性を刺激するため、「こんな形にしてみよう」「こんな風に加工したらどうなるかな?」と問いかけながら進めるのがおすすめです。
- ちぎり絵の素材: 選んだ色の紙を手で小さく、または大きくちぎります。ちぎる場所によって色の濃淡が変わることを発見するかもしれません。カッターを使わず、手でちぎる作業は小さな子供でも安全にでき、指先の感覚を養うのにも役立ちます。
- 貼り絵の素材: ハサミで好きな形(丸、四角、三角、動物など)に切り抜きます。様々な色や柄の紙を組み合わせて使うことを促しましょう。
- 巻紙アートの素材: 新聞紙やチラシを細長く切った時と同様に、雑誌の紙を細長く切ります(幅1cm~3cm程度)。この細長い紙を鉛筆や指に巻き付けたり、くるくると巻いて渦巻き状にしたりして、立体的なパーツを作ります。
- 【応用例】 紙を細かく刻んで、色の粒々を作る。水に少し浸して柔らかくし、丸めて紙粘土のように使う(ただし乾燥に時間がかかります)。
ステップ3:台紙に貼っていく(安全上の注意:糊の使いすぎに注意)
- 準備した台紙(段ボールなど)の上に、ステップ2で作った様々な紙の素材を組み合わせていきます。
- 糊を使って台紙に貼り付けていきます。
- 【安全上の注意】 液体のりを使いすぎると紙がふやけて破れやすくなります。また、手や服に糊がつかないよう、必要に応じてエプロンをつけたり、作業後に手を洗うことを促します。スティックのりもキャップをきちんと閉めることなどを教えます。
- ちぎり絵の場合は、台紙の上に鉛筆で下書きした絵の上に、ちぎった紙を少しずつ重ねるように貼っていくと、絵の具で描いたような表現ができます。
- 巻紙アートの場合は、巻いたパーツの端に糊を少量つけ、台紙に固定していきます。渦巻き状のパーツをたくさん作って並べると、模様や立体的な絵になります。
ステップ4:仕上げ(子供が主体的に取り組むヒント)
- 全体が貼り終わったら、足りない部分に描き足したり、他の飾り(ボタン、毛糸など他の廃材)を付け加えたりしても良いでしょう。
- 絵の具やペンで輪郭を描いたり、空白部分を塗ったりすることもできます。
- 作品が完成したら、しっかりと乾燥させます。
ステップ5:環境学習に繋げる
- 作品を見ながら、使った紙が元々何だったのか、どんな情報が載っていたのかなどを子供たちと話します。
- 「この紙、ツルツルだね」「この紙はザラザラだね」など、紙の質感の違いに気づかせ、「色々な紙があるんだね。なんでかな?」と一緒に考えます。
- 「もしこの雑誌がリサイクルされなかったらどうなるのかな?」「物を大切に使うってどういうことかな?」など、簡単な問いかけから環境について考える時間を持ちます。
- 作った作品に名前をつけたり、作品に込めた思いを発表し合ったりする機会を設けると、より主体的な学びになります。
ワークショップで実施する際の準備や注意点
- 材料の準備: 事前に様々な色や質感の古雑誌・カタログを十分に集めておきます。広報誌やフリーペーパーなども活用できます。参加者が持ち寄る形式にしても良いでしょう。
- 作業スペース: 机の上に新聞紙やビニールシートを広げ、汚れても良い服装で取り組むよう事前に案内します。
- 道具の管理: ハサミや糊は、参加者の人数に合わせて十分に準備し、使用場所や返却場所を明確にします。特にハサミの安全な使い方については、活動の最初に必ず子供たちに伝えます。カッターナイフは大人のみ使用し、子供の手に届かない場所で管理します。
- 時間配分: 材料選び、加工、貼り付け、乾燥、片付け、発表の時間など、全体の流れを考慮して時間配分を計画します。
- 声かけ: 子供たちの自由な発想を尊重し、「こうしなさい」ではなく「こうしてみたらどうかな?」「ここはどんな色がいいかな?」など、問いかけやヒントを与えながら、主体的な制作を促します。困っている子には優しくサポートします。
- 安全確認: 作業中、子供たちが道具を安全に使えているか、危険な行動をしていないか、常に注意深く見守ります。
- 乾燥場所: 作品を乾燥させるための十分なスペースを確保します。持ち帰る場合は、崩れないように工夫が必要です。
まとめ:廃材が教えてくれること
古雑誌やカタログを使ったアート制作は、特別な材料や技術がなくても、子供たちが気軽に創造性を発揮できる素晴らしい活動です。色とりどりの紙をちぎったり、切ったり、貼ったりする単純な作業の中に、指先を使う喜びや、色の組み合わせの楽しさ、そして形が生まれる驚きが詰まっています。
さらに、この活動を通して、子供たちは身の回りの物がどのように生まれ、どのように捨てられるのか、そして捨てられるはずの物が新しい形に生まれ変わる可能性を知ります。これは、単なる工作活動に留まらず、物を大切にする心や、資源の有限性、環境問題への関心を育む貴重な学びの機会となります。
ワークショップやイベントでこのアイデアを取り入れることで、参加した子供たちが、自宅に持ち帰った雑誌やカタログを見る目が少し変わるかもしれません。「これ、何か作れるかな?」そう思ってもらえたなら、この活動は大きな成功と言えるでしょう。ぜひ、古雑誌・カタログの色あざやかアートで、子供たちの創造性と環境への意識を育んでください。