廃材活用！食品トレイでつくるゆらゆらモビール ～学ぼうプラスチックごみのこと～
「廃材あそびリメイク帳」では、普段捨ててしまうような廃材に新たな命を吹き込むリメイクアイデアをご紹介しています。これらの活動は、単なる工作に留まらず、子どもたちが「物を大切にする心」や「環境への配慮」について自然と考えるきっかけとなります。
本記事では、家庭や地域で手に入りやすい「食品トレイ」を活用したモビール作りのアイデアをご紹介します。軽くて加工しやすい食品トレイは、小さなお子さんでも比較的扱いやすく、世界に一つだけの素敵な作品を生み出すことができます。この活動を通じて、身近なプラスチックごみについて考える環境学習へと繋げていきましょう。
食品トレイからアートへ：モビール作りの魅力
食品トレイは、肉や魚、総菜などを購入する際によく使われていますが、一度使ったらほとんどが捨てられてしまいます。しかし、この食品トレイは少し手を加えるだけで、美しいモビールのパーツに生まれ変わります。
モビールは、わずかな空気の流れでもゆらゆらと揺れ動き、空間に心地よい動きをもたらします。子どもたちが自分で作ったモビールが、部屋のなかで優しく揺れる様子を見るのは、大きな喜びとなるでしょう。
また、食品トレイの素材はプラスチックです。このリメイク活動を通して、「これは何でできているのかな？」「どこから来たのかな？」と問いかけ、プラスチック製品の利用やリサイクル、そして適切に処理されなかったプラスチックが環境に与える影響について、子どもたちと一緒に話し合う貴重な機会にもなります。
モビール作りに必要なもの
特別な材料や道具は必要ありません。身近なもので準備できます。
- きれいに洗って乾かした食品トレイ：複数枚あると色々な形が作れます。
- ハサミ
- カッターナイフ：小さなお子さんが使う場合は、必ず大人が補助するか、大人が担当してください。
- 油性ペンやアクリル絵の具：食品トレイに色を塗る際に適しています。水性絵の具の場合は、はじくことがあるため工夫が必要です。
- 接着剤（木工用ボンドや速乾性のある多用途タイプ）：パーツを貼り合わせる場合に。
- パンチ（穴あけパンチや、紐通し用の細いパンチ）
- 糸やテグス：パーツを吊るしたり繋げたりするのに使います。
- 吊るすための棒：竹ひご、細い木の棒、ワイヤーハンガーなどを活用できます。
食品トレイモビール作りの詳しい手順
ワークショップ形式で実施する際も、以下のステップで進められます。安全に注意しながら、子どもたちのペースで進めましょう。
ステップ1：食品トレイの準備と環境学習の導入
- 使用済みの食品トレイをきれいに洗い、十分に乾かします。油分や水分が残っていると、絵の具が乗りにくかったり、カビの原因になったりします。
- この時、「このトレイは何でできているか知ってるかな？」「プラスチックだね。プラスチックってどうやって作られるんだろう？」「使ったプラスチックはどこに行くんだろう？」など、簡単な問いかけをしてみましょう。食品トレイの裏側にあるリサイクルマークを見つけるのも良い学びになります。
ステップ2：モビールパーツのデザインと下書き
- 乾いた食品トレイに、モビールのパーツにしたい形のデザインを下書きします。魚、星、ハート、葉っぱ、動物など、子どもたちの好きなものを自由に描かせましょう。
- シンプルな形の方が切り抜きやすいですが、少し複雑な形に挑戦するのも良い経験です。
ステップ3：パーツの切り抜き
- 下書きした線に沿って、ハサミやカッターナイフでパーツを切り抜きます。
- 【安全上の注意点】 ハサミを使う際は、指を切らないように、布や紙を切るのとは違うプラスチックの感触に注意することを伝えます。カッターナイフは大変危険ですので、必ず大人が使い、子どもには触らせないように指導してください。 または、あらかじめ大人が切り抜く部分を準備しておくなどの工夫が必要です。
ステップ4：パーツへの色付け
- 切り抜いたパーツに色を塗ります。油性ペンやアクリル絵の具を使うと、きれいに色が乗ります。
- 色を塗る前に、サンドペーパー（紙やすり）で表面を軽くこすると、絵の具が定着しやすくなる場合もありますが、必須ではありません。
- 塗り絵のように丁寧に塗るのも良いですし、思い思いの色を大胆に塗るのも楽しいです。
ステップ5：飾り付けと穴あけ
- 色を塗ったパーツが乾いたら、さらに飾り付けをします。別の食品トレイを小さく切って貼り付けたり、パンチで小さな穴を開けて模様にしたり、穴を開けて他のパーツを糸で繋げたりするのも良いでしょう。
- パーツを吊るすための穴、または複数のパーツを繋げるための穴を開けます。パンチを使うと簡単です。穴を開ける位置によって、パーツの吊るされ方やバランスが変わってきます。
ステップ6：パーツを糸で繋げる
- 穴を開けたパーツに糸やテグスを通して、上下に繋げていきます。
- ビーズなどを間に挟むと、より動きが出て可愛らしくなります。
- 繋げるパーツの数や長さを変えることで、色々なデザインのモビールが作れます。
ステップ7：吊るすための棒に取り付ける
- 竹ひごやワイヤーハンガーなど、吊るすための棒を用意します。
- ステップ6で繋げたパーツの束を、この棒に吊るします。複数本の糸を吊るす場合は、バランスを見ながら配置を決めます。
- 全体がうまくバランスを取れるように、吊るす位置や糸の長さを調整します。少し触るだけでゆらゆらと揺れるか確認してみましょう。
ワークショップで実施する際の準備と注意点
- 事前に十分な数の食品トレイを収集し、きれいに洗浄・乾燥させておくことが重要です。
- カッターナイフを使う工程は、必ず大人が担当するか、安全に配慮した工夫（例えば、あらかじめ大人が複雑な形を切り抜いておき、子どもはハサミで切れる部分だけを担当するなど）が必要です。
- 作業場所が汚れても良いように、新聞紙などを敷いておくと良いでしょう。
- 接着剤や絵の具を使用する際は、換気を十分に行いましょう。
- 小さなパーツやビーズなどを使う場合は、小さなお子さんの誤飲がないよう注意が必要です。
まとめ
食品トレイは、普段は何気なく捨ててしまう廃材ですが、少しの工夫と遊び心で、素敵なモビールへと生まれ変わります。この活動は、子どもたちの創造性を育むだけでなく、身近なプラスチックごみの問題について考えるきっかけを与えてくれます。
自分で作ったモビールが部屋でゆらゆらと揺れる様子は、子どもたちにとって忘れられない思い出となるでしょう。「これは食品トレイでできているんだよ」と誰かに話すとき、環境への意識も自然と高まっているはずです。ぜひ、子どもたちと一緒に食品トレイのリメイクに挑戦し、楽しみながら環境について学んでみてください。