廃材活用!空き缶・ペットボトルでつくる身近なリズム楽器 ~鳴らして学ぼう、資源のこと~
廃材活用!空き缶・ペットボトルでつくる身近なリズム楽器 ~鳴らして学ぼう、資源のこと~
皆さんの周りには、飲み終わった空き缶やペットボトルがたくさんあるのではないでしょうか。これらは普段、資源ごみとして分別回収されていますが、少しの工夫で子供たちが楽しく遊べる「リズム楽器」に生まれ変わらせることができます。
本記事では、身近な廃材である空き缶やペットボトルを使った簡単なリズム楽器の作り方をご紹介します。これらの活動を通じて、子供たちは創造力を育むだけでなく、普段何気なく捨てているものが大切な資源であること、そしてリサイクルすることの意義を自然と学ぶことができるでしょう。環境教育のワークショップなどでも、子供たちが主体的に取り組める、安全で楽しい活動としてぜひご活用ください。
空き缶とペットボトルがアートで楽器に生まれ変わる
空き缶やペットボトルは、形や硬さが様々で、中に入れるものや加工の仕方によって様々な音を生み出すことができる魅力的な廃材です。叩いたり、振ったり、擦ったりすることで、思いがけない音色に出会えます。ここでは、特に簡単に作れる3つのアイデアをご紹介します。
アイデア1:カラフルシェイカー(空き缶、ペットボトル)
振って音を出すシンプルな楽器、シェイカーです。空き缶とペットボトルのどちらでも作れますが、それぞれ違った音の響きが楽しめます。
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使用する廃材と環境学習のポイント:
- 空き缶(アルミ缶・スチール缶): 飲み終わった後の缶は、水で軽くすすいでから捨てることがリサイクルの第一歩です。アルミ缶とスチール缶は分別され、それぞれ新しいアルミ製品や鉄製品に生まれ変わります。缶の内側まできれいにする大切さを伝えましょう。
- ペットボトル: ラベル、キャップ、ボトル本体に分け、それぞれリサイクルされます。特にボトルは新しいペットボトルや衣類などに生まれ変わる大切な資源です。飲み残しがないように最後まで飲むこと、きれいにすすぐこと、ラベルを剥がすことの意味を話してみましょう。
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必要な道具リスト:
- 洗って乾燥させた空き缶(飲み口が開いているタイプ)またはペットボトル(500ml程度が扱いやすいです)
- 中に入れるもの(乾燥した豆、お米、ビーズ、小石、砂利など - 音を比較できるように複数種類用意するのも楽しいです)
- セロハンテープ、ガムテープ、ビニールテープなど、しっかり貼れるテープ
- 装飾用の材料(色紙、布、毛糸、シール、絵の具、ペンなど)
- ハサミ(子供用を使用し、大人が補助します)
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詳しい工作手順:
- 準備: 廃材(空き缶またはペットボトル)をきれいに洗い、しっかり乾かします。中に入れる材料を用意します。
- 中身を入れる: 空き缶またはペットボトルに、用意した材料を入れます。入れる量や種類を変えると音も変わることを試してみましょう。「どのくらい入れるとどんな音がするかな?」と子供に問いかけてみてください。
- しっかり封をする(安全上の最重要ポイント!):
- 空き缶の場合: 開いている飲み口を、テープで隙間なく、何重にも厳重に封をします。振っているときに中身が飛び出したり、缶の切り口(もしある場合)で怪我をしたりしないよう、テープで完全に覆い隠し、強く引っ張っても剥がれないようにしてください。
- ペットボトルAの場合(中身が細かいもの): キャップをしっかりと閉めた後、さらにキャップ全体とボトルの口の部分をテープでぐるぐる巻きにして補強します。万が一キャップが開いて中身が出てしまわないようにするためです。
- 装飾する: 外側を好きなように装飾します。絵を描いたり、色紙を貼ったり、毛糸を巻き付けたり。子供たちの自由な発想でオリジナルのシェイカーに仕上げましょう。
- 完成! 振って音を出してみましょう。作ったシェイカーで簡単なリズム遊びをするのも楽しいです。
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子供が主体的に取り組むためのヒント・応用例:
- 入れる材料を子供自身に選ばせてみる。いくつかの候補から「どれにしようか?」と一緒に考えます。
- 空き缶とペットボトル、違う種類の缶などで作り、音の違いを聞き比べてみる。
- 複数のシェイカーでアンサンブルに挑戦してみる。
- 装飾のテーマを決めてみる(例: 動物、宇宙、海の生き物など)。
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ワークショップで実施する際の準備・注意点:
- 廃材は事前にきれいに洗い、十分な数を揃えておきます。
- 中に入れる材料は、こぼれにくいように皿やカップに小分けにしておくとスムーズです。
- テープでの封止は、安全確保のため特に丁寧に行うよう指導します。必要に応じてスタッフが補助または最終確認を行います。
- 小さな子供が中身を誤飲しないよう、使用する材料や作業中の見守りに十分注意してください。
アイデア2:ギロ/スクラッチ(ペットボトル)
側面の凹凸を棒で擦って音を出す楽器です。ペットボトルのカーブや素材が、独特の音を生み出します。
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使用する廃材と環境学習のポイント:
- ペットボトル: シェイカーと同様、ペットボトルのリサイクルについて学びます。特に、この楽器ではボトルの側面に触れるため、ボトルの厚みや素材感に触れることで、プラスチックという素材への興味を持つきっかけになるかもしれません。
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必要な道具リスト:
- 洗って乾燥させたペットボトル(凹凸があるものや、少し硬めのものが音が鳴りやすいです)
- 擦るための棒(割り箸、ペンの柄、木の枝など、先が尖っていない安全なもの)
- 側面に凹凸を作るための材料(ビニールテープ、モールなど)
- 装飾用の材料
- ハサミ
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詳しい工作手順:
- 準備: ペットボトルをきれいに洗い、乾かします。
- 凹凸をつける: ペットボトルの側面に、ビニールテープを等間隔にぐるぐる巻きつけたり、モールを貼り付けたりして、凹凸を作ります。この凹凸が多いほど、棒で擦ったときに細かい音が出やすくなります。
- 装飾する: 凹凸をつけた部分以外のボトル本体を装飾します。
- 音を出してみる: 用意した棒で、凹凸部分を擦ってみましょう。「シャカシャカ」「ギコギコ」など、どんな音がするか試してみてください。
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子供が主体的に取り組むためのヒント・応用例:
- テープを巻く間隔を変えて、音の変化を比べてみる。
- 複数のギロを作り、違う棒で擦って音の違いを聞き比べてみる。
- ペットボトルの種類(炭酸用、水用など)を変えて、ボトルの硬さによる音の違いを比べてみる。
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ワークショップで実施する際の準備・注意点:
- 擦る棒は、先が丸いなど安全なものを選びます。
- 子供たちが棒でペットボトルを擦る際に、周囲に人がいないか、安全なスペースで行うように指導します。
- ペットボトルの切り口は使用しませんが、もし加工で切断が必要な場合は必ず大人が行い、切り口をテープで覆うなどの安全処理を徹底してください。
アイデア3:ミニドラム/太鼓(空き缶)
空き缶の底面や側面に面を作り、叩いて音を出す楽器です。缶の大きさや面にする素材で音が変わります。
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使用する廃材と環境学習のポイント:
- 空き缶: アルミ缶・スチール缶のリサイクルに加え、「面」を作るために使う布や紙もまた別の廃材(古着のハギレ、新聞紙など)を使うことで、複数の廃材を組み合わせる活動になります。様々な素材のリサイクル方法について、より深く考えるきっかけとなります。
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必要な道具リスト:
- 洗って乾燥させた空き缶(蓋がしっかり閉まるタイプか、片側が開いたタイプのどちらでも可。コーヒー缶などが作りやすいです)
- 太鼓の面にする材料(丈夫な布、画用紙、厚紙、新聞紙を重ねたものなど)
- 輪ゴム、紐、粘着力の強いテープなど、面を固定できるもの
- 叩くためのバチ(割り箸の先に布を巻いてテープで留めたものなど、安全なもの)
- 装飾用の材料
- ハサミ
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詳しい工作手順:
- 準備: 空き缶をきれいに洗い、乾かします。太鼓の面にする材料を缶の口よりも一回り大きくカットします。
- 面を張る: 缶の開いている方の口に、用意した布や紙をかぶせます。ピンと張るように引っ張りながら、輪ゴムや紐で缶の側面に固定します。輪ゴムだけでは不安な場合は、上からさらにテープでしっかりと固定します。缶の底面を叩く場合は、そのまま叩くか、底面にも布や紙を貼って装飾します。
- 装飾する: 缶の側面などを装飾します。
- バチを作る(任意): 割り箸を使う場合、子供が安全に使えるように、尖った部分やささくれがないか確認し、片方の先に布などを巻き付けてテープで固定すると、柔らかい音が出て安全です。
- 完成! バチや手で叩いて音を出してみましょう。缶の底面、側面、面を張った部分など、叩く場所を変えると音も変わることを発見できます。
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子供が主体的に取り組むためのヒント・応用例:
- 複数のサイズの缶で大小さまざまなドラムセットを作ってみる。
- 面を張る素材を変えて(布、紙など)、音の違いを聞き比べてみる。
- 装飾を工夫して、お気に入りのバンドのドラムセットのように飾ってみる。
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ワークショップで実施する際の準備・注意点:
- 缶の開いている口は、切り口が鋭利になっている場合があります。子供が直接触れないように、大人が注意して作業を行うか、事前にテープで保護しておくとより安全です。
- 面を張る作業は、ピンと張るのに少し力が必要な場合があります。子供と一緒に協力して行うと良いでしょう。
- 叩くバチは、安全な素材で、周りのものを傷つけないように配慮したものを用意します。
廃材楽器作りから広がる環境学習
これらの廃材楽器作りは、単なる工作にとどまりません。活動を通じて、子供たちは以下のような環境学習につながる大切な気づきを得ることができます。
- 資源の大切さ: 普段、当たり前のように捨てているものが、工夫次第で楽器という新しい「価値」を持つものに生まれ変わる経験を通じて、資源の有限性や物の大切さを肌で感じることができます。
- リサイクルの仕組みと意義: 空き缶やペットボトルがどのように回収され、リサイクルされるのか、なぜ分別が必要なのかを具体的に学ぶきっかけになります。「このアルミ缶は、また新しいアルミ製品になるんだよ」「このペットボトルは服にもなるんだ!」といった話をすることで、リサイクルが未来の地球につながる行動であることを理解しやすくなります。
- ごみ問題への関心: 「もしこれがリサイクルされなかったらどうなるんだろう?」と考えることで、ごみ問題や海洋プラスチック問題など、身近な環境問題に関心を持つきっかけとなります。
- 創造性と工夫の力: 廃材という限られた素材の中で、どんな音が鳴るか、どうすればもっと面白くなるか、子供たちは自ら考え、工夫する力を養います。
まとめ
空き缶やペットボトルといった身近な廃材を活用したリズム楽器作りは、子供たちが楽しく遊びながら、環境について学び、物の大切さを実感できる素晴らしい活動です。特別な材料や難しい技術は必要ありません。家庭や地域で手軽に入手できる廃材と、少しの道具、そして何よりも子供たちの自由な発想があれば、世界に一つだけのオリジナル楽器が生まれます。
この活動を通じて、子供たちの心の中に「捨てる前に、何かに使えないかな?」という優しい気持ちや、「これも大切な資源なんだ」という環境への配慮が自然と芽生えることを願っています。ぜひ、子供たちと一緒に廃材を使った楽器作りに挑戦し、音とアートと環境学習が融合した楽しい時間を過ごしてください。