廃材活用!プチプチとエアークッションでつくる海のなかま ~梱包材ごみと海のプラスチック問題~
廃材活用!プチプチとエアークッションでつくる海のなかま ~梱包材ごみと海のプラスチック問題~
インターネットショッピングの普及などで、私たちの身の回りには様々な梱包材があふれています。その中でも、ぷちぷちとした感触が楽しいプチプチや、空気の入ったエアークッションは、荷物を守る大切な役割を果たしています。しかし、使い終わるとすぐに捨てられてしまうこれらのプラスチック梱包材が、実は環境に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。
「廃材あそびリメイク帳」では、普段何気なく捨てている廃材に新しい命を吹き込むアイデアをご紹介しています。今回は、この身近なプラスチック梱包材、プチプチとエアークッションを使って、海のいきものをテーマにしたアート作品を作るアイデアをご提案します。子供たちが楽しみながら手を動かすことで、物を大切にする心や、プラスチックごみ、特に海の環境問題について自然と関心を持つきっかけとなることを目指します。
プチプチ・エアークッションから学ぶ環境の知識
プチプチやエアークッションは、ポリエチレンなどのプラスチックで作られています。軽くてクッション性があるため、大切な荷物を衝撃から守るのに欠かせません。しかし、ほとんどの場合、一度使われたらすぐに捨てられてしまいます。
もしこれらのプラスチック梱包材が適切に処理されず、川や海に流れ出てしまうとどうなるでしょうか。プラスチックは自然の中で分解されるのに非常に長い時間がかかります。海に漂うプラスチックは、海のいきものが間違って食べてしまったり、細かく砕けてマイクロプラスチックとなり、海の生態系に影響を与えたりする可能性があります。
この工作を通じて、普段使っている梱包材がどこから来て、捨てられたらどうなるのか、そして、物を大切に使うことや、ごみを減らすことがなぜ大切なのかを考えるきっかけにしてください。
用意するもの
この工作では、特別な道具や材料はほとんど必要ありません。ご家庭や地域の活動場所で手軽に準備できるものばかりです。
- 廃材:
- プチプチ(気泡緩衝材)
- エアークッション(空気袋タイプの緩衝材)
- ※使用済みのもので構いませんが、汚れを落としてよく乾かしておきましょう。
- 道具:
- ハサミ(子供用の安全なものがおすすめです)
- プラスチックに対応した接着剤(木工用ボンドはつきにくい場合があります。布用ボンドや、プラスチックが接着できる安全性の高いものを選びましょう)
- 油性ペン(プラスチックに絵を描くため)
- 絵の具(アクリル絵の具など、プラスチックに定着するもの)
- 筆
- パレット(牛乳パックの底などを再利用しても良いでしょう)
- 水入れ
- 新聞紙やビニールシート(机を汚さないため)
- 飾り付け用(任意): 毛糸、モール、ボタン(古い服から外したものなど)、他の廃材(ペットボトルキャップ、食品トレイの切れ端など)
海のなかまをつくる工作手順
さあ、廃材のプチプチやエアークッションを使って、オリジナルの海のいきものアートを作りましょう。ワークショップ形式で複数の子供たちと取り組むことも想定し、ステップを細かく分けました。
ステップ1:廃材の準備と下絵を考える
まず、使うプチプチやエアークッションをきれいに洗い、しっかりと乾かしておきます。汚れや湿気が残っていると、接着剤がうまくつかなかったり、カビの原因になったりすることがあります。
次に、どんな海のいきもの(魚、クラゲ、タコ、カニ、ヒトデなど)を作るか考えましょう。図鑑を見たり、インターネットで検索したりして、海のいきものの形や色を参考にすると楽しいですね。作りたいものの形を紙に鉛筆で簡単に下絵として描いてみましょう。
ステップ2:廃材をカットする
下絵を参考に、プチプチやエアークッションをハサミで切って、海のいきものの体のパーツを作ります。
- 注意点:
- ハサミを使うときは、指を切らないように十分注意してください。小さなお子さんの場合は、必ず大人が見守るか、一緒に作業を行いましょう。
- プチプチはつぶさないように優しく扱うと、ぷちぷち感が残って面白い質感になります。
- エアークッションは、空気が抜けないように、縁のシールされている部分を残して切るか、空気が入った袋の形をそのまま活かすようにしましょう。
魚の胴体、ヒレ、しっぽ、クラゲのかさ、タコの足など、必要なパーツを形に合わせてカットします。
ステップ3:パーツを貼り合わせる
カットしたパーツを組み合わせて、海のいきものの形にしていきます。
- 注意点:
- 接着剤を使うときは、適量を使いましょう。つけすぎると乾くのに時間がかかったり、はみ出して汚れてしまったりします。
- 接着剤は目や口に入らないように注意してください。もしついてしまった場合は、すぐに水で洗い流し、必要に応じて大人の人に相談しましょう。
- 接着剤の種類によっては、乾くまで少し時間がかかります。パーツを貼ったら、ずれないようにしばらく押さえておきましょう。洗濯バサミなどで固定するのも良い方法です。
魚であれば胴体にヒレとしっぽを貼り付ける、クラゲであればかさの下に足になる細長い緩衝材などを貼り付けるなど、考えた形になるようにパーツを組み合わせていきます。
ステップ4:色を塗ったり、飾り付けをする
形ができあがったら、いよいよ色塗りや飾り付けをして、いきものをさらに生き生きとさせます。
- 注意点:
- 油性ペンは衣服につくと落ちにくいので注意が必要です。
- 絵の具を使うときは、机に新聞紙などを敷いて汚れないようにしましょう。服が汚れても良いように、スモックなどを着るのもおすすめです。
- アクリル絵の具は乾くと耐水性になりますが、筆は使い終わったらすぐに洗いましょう。
- 飾り付けに使うボタンや小さなパーツは、小さなお子さんが誤って口に入れないように十分注意してください。
プチプチのぷちぷちの一つ一つに色をつけたり、エアークッションの透明感を活かして幻想的な色合いにしたり、工夫次第で様々な表現ができます。油性ペンで目や模様を描いたり、毛糸をタコの足に見立ててつけたり、他の廃材(ペットボトルキャップで目など)を貼り付けたりするのも良いアイデアです。
ステップ5:完成!
全て貼り付けたり、色を塗ったり終わったら、接着剤や絵の具が完全に乾くのを待ちましょう。これで、プチプチやエアークッションから生まれた、オリジナルの海のなかまアートの完成です!
子供が主体的に取り組むためのヒントと応用
- 自由な発想を大切に: 事前に作るものを決めすぎず、「このプチプチ、何に見えるかな?」「このエアークッションでどんな海のいきものが作れるかな?」と問いかけて、子供自身の自由な発想を引き出しましょう。
- 他の廃材との組み合わせ: ペットボトルキャップ、食品トレイ、牛乳パックの切れ端など、他の廃材と組み合わせて、より複雑で面白い作品を作ることを提案してみましょう。
- ストーリーを作ってみる: 作った海のなかまに名前をつけたり、どんな海に住んでいるのか、普段何をしているのか、簡単なストーリーを考えたりする遊びを取り入れると、創造性がさらに広がります。
- 飾って楽しむ: 完成した作品を壁に飾って「プチプチ水族館」を作ったり、糸をつけてモビールのように吊るしてゆらゆら揺れる海の様子を表現したりして楽しみましょう。
ワークショップでの実施にあたって
この工作は、少人数から大人数のワークショップまで、様々な規模で実施しやすいアイデアです。
- 材料の準備: 廃材はあらかじめ洗い、ある程度カットしておくと、スムーズに作業が進みます。ただし、子供たち自身にハサミで切る工程を体験させることも重要なので、年齢に合わせて準備の度合いを調整してください。プチプチとエアークッションを種類別に分けておくと、選びやすくなります。
- 安全管理: ハサミや接着剤の安全な使い方について、作業を始める前に子供たちにしっかりと説明し、作業中は常に大人が見守るようにしてください。机周りを整頓し、滑りやすい接着剤などが床に落ちないように注意しましょう。
- 環境学習の導入: 工作の前に、今回使う廃材(プチプチやエアークッション)が何でできているか、どのように作られるか、そして捨てられたプラスチックが環境に与える影響について、写真や簡単なイラストなどを交えて分かりやすく説明する時間を設けると、学びが深まります。子供たちがなぜこの工作をするのか、目的意識を持つことができます。
- 展示と共有: 完成した作品をまとめて展示する機会を設けると、子供たちの達成感が高まります。他の子の作品を見ることで、新しいアイデアや表現方法に気づくこともあります。
まとめ
今回は、身近な廃材であるプチプチとエアークッションを使った、海のなかまアートの作り方をご紹介しました。ぷちぷちとしたユニークな質感の廃材を使うことで、子供たちは普段とは違う素材の面白さを発見し、創造力を刺激されるでしょう。
この活動は単に楽しい工作であるだけでなく、普段何気なく捨てているプラスチック梱包材に目を向け、それがどのように環境に関わっているのかを知る大切な機会となります。海のプラスチック問題は、私たち一人ひとりが意識することで解決に向かう課題です。
廃材を活用したリメイク活動は、「捨てるものを減らす」「物を大切にする」という考え方を育む素晴らしい方法です。ぜひ、子供たちと一緒に廃材に新しい命を吹き込む体験を通じて、遊びの中から環境について学び、持続可能な社会について考えるきっかけとしていただければ幸いです。